
はじめに
あんどう接骨院には肩関節に痛みを訴える患者様が多く来院されます。その中でも特に痛みが強く出現するのが「五十肩」です。整形外科で診断を受け数か月経過した後、来院される方や初めから当院を選択してくださる方まで様々です。
五十肩は時期によって3つのステージに分類されますが、当院ではステージごとに施術の方法を選択しそれぞれの患者様に合った治療を提供しています。五十肩は初期の対応により改善する期間が大きく異なります。少しでも肩関節に違和感があれば早めに当院までご相談ください。
私たちの多くが、人生のある時期に肩の痛みに悩まされます。特に40代から60代にかけて、ある日突然、肩が動かしにくくなり、激しい痛みに襲われることがあります。これが、一般的に「五十肩」と呼ばれる症状です。正式名称は「肩関節周囲炎」といい、多くの人々がその痛みと不便さに苦しんでいます。しかし、その実態は意外と知られていません。この記事では、五十肩のメカニズムから症状、治療法、そして専門家である接骨院との効果的な付き合い方まで、深く掘り下げて解説します。

1. 五十肩とは何か?その正体を探る
「五十肩」という言葉は、その発症年齢からくる通称であり、医学的には「肩関節周囲炎」と診断されます。これは、肩関節を構成する骨、靭帯、腱、関節包といった組織が炎症を起こし、肩全体の動きが悪くなる病態です。
なぜ五十肩になるのか?
その原因は完全に解明されていませんが、加齢に伴う肩関節周辺組織の変性、血行不良、使いすぎ、あるいは肩への軽微な外傷などが複合的に関与していると考えられています。特に、肩関節を覆う「関節包」という袋状の組織が硬くなり、炎症を起こすことが、五十肩の痛みの大きな原因となります。この関節包の収縮は、肩の可動域を著しく制限し、日常生活に大きな支障をきたします。
2. 五十肩の3つのステージ:痛みの経過を理解する
五十肩は、一般的に3つの段階を経て回復に向かいます。このステージを理解することは、適切な対処法を見つける上で非常に重要です。
ステージ1:急性期(炎症期) この時期は、激しい痛みが特徴です。特に夜間や安静時に痛みが強くなることが多く、「夜間痛」と呼ばれます。肩を動かすと痛みが走るため、無意識に肩をかばうようになります。この段階では、無理に動かすことは逆効果であり、炎症を抑えることが最優先されます。動かせる範囲で少しずつ動かし、痛みを増強させないことが重要です。
ステージ2:拘縮期(慢性期) 急性期の痛みが少し和らぐ一方で、肩の可動域が著しく制限されます。腕が上がらない、後ろに回せない、といった症状が顕著になります。この時期は、肩関節の硬さが原因で、日常生活での動作(例えば、髪をとかす、服を着る、洗濯物を干すなど)が困難になります。この段階では、痛みを伴わない範囲で、少しずつ肩の動きを回復させるリハビリテーションが重要となります。
ステージ3:回復期 肩の痛みや可動域の制限が徐々に改善していく時期です。この段階でも完全に症状がなくなるまでには時間を要し、根気強いリハビリテーションが必要です。しかし、適切な治療とリハビリを継続すれば、多くの場合は元の生活に戻ることができます。

3. 医療機関と接骨院:それぞれの役割と連携
五十肩の治療には、整形外科や接骨院など、様々な専門機関が関わってきます。それぞれの役割を理解し、適切に利用することが早期回復への鍵となります。

整形外科 整形外科は、医師が診断と治療を行う医療機関です。レントゲンやMRIといった画像診断を用いて、五十肩の症状が他の病気(例えば腱板損傷など)ではないことを確認します。急性期には、消炎鎮痛剤の処方や、関節内への注射(ヒアルロン酸やステロイドなど)といった薬物療法が行われることがあります。また、リハビリテーションの指導も行われます。重症の場合や改善が見られない場合は、手術が検討されることもあります。
接骨院 接骨院は、柔道整復師という国家資格を持った専門家が施術を行う施設です。骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷(肉離れなど)といった急性的な外傷や、それに伴う痛みを専門的に扱います。五十肩は、その原因が「損傷」とみなされる場合に保険適用の対象となります。
接骨院の強み:手技によるアプローチ
接骨院における五十肩の治療は、主に手技療法と物理療法が中心となります。
- 手技療法(マッサージ、ストレッチ) 接骨院では、柔道整復師が手技によって、肩関節周辺の筋肉の緊張をほぐし、血行を促進します。硬くなった関節包や周囲の組織を少しずつ伸ばすことで、肩の可動域を広げていきます。痛みを伴う急性期には無理な施術は行わず、炎症を抑える処置を優先します。拘縮期には、痛みのない範囲で徐々に関節を動かす「他動運動」や、患者さん自身に動かしてもらう「自動運動」を組み合わせたリハビリテーションが行われます。
- 物理療法 低周波治療器、温熱療法、超音波治療器などを用いて、炎症を抑えたり、筋肉の血行を改善したりする治療を行います。これにより、痛みを和らげ、回復を早める効果が期待できます。
接骨院と整形外科の連携の重要性
五十肩の治療において、整形外科と接骨院は互いに補完し合う関係にあります。
- まず整形外科を受診し、レントゲンなどで五十肩であることを診断してもらうことが重要です。他の重篤な病気が隠れていないかを確認するためです。
- 診断後、薬物療法や注射で炎症や痛みをコントロールしながら、接骨院で手技によるリハビリテーションを並行して行うことも可能です。
- 接骨院では、日常生活での注意点や、自宅でできるストレッチ方法など、きめ細やかな指導を受けることができます。
この連携により、患者さんは痛みのコントロールと機能回復の両方からアプローチを受けることができ、より効果的な回復が期待できます。
4. 五十肩との賢い付き合い方:セルフケアと予防
専門家による治療も重要ですが、五十肩の回復には患者さん自身のセルフケアも不可欠です。

急性期:まずは「安静」と「冷却」 激しい痛みを伴う急性期には、無理に動かさず、安静を保ちましょう。炎症が強い場合は、氷嚢などで患部を冷やすアイシングが効果的です。また、夜間痛がひどい場合は、肩の下に枕を置くなどして、痛くない姿勢で寝る工夫をしましょう。
慢性期:少しずつ「動かす」 痛みが和らいできたら、少しずつ肩を動かし始めます。
- 振り子運動(コッドマン体操): 痛みのない範囲で、前かがみになり、腕の重みを利用して肩をブラブラと揺らします。
- 壁を使ったストレッチ: 壁に手をつき、少しずつ上へずらして腕を上げていきます。痛みを我慢して行わないことが重要です。
- お風呂でのストレッチ: 温かいお湯の中で肩を動かすと、筋肉が緩み、可動域を広げやすくなります。
予防:五十肩にならないために 五十肩は一度発症すると厄介ですが、日頃から予防することも可能です。
- 適度な運動とストレッチ: 肩甲骨周りの筋肉を動かす体操やストレッチを日常的に行い、肩の柔軟性を保ちましょう。
- 姿勢の改善: 猫背や前かがみの姿勢は、肩への負担を増やします。正しい姿勢を意識して過ごしましょう。
- 体を冷やさない: 肩周りを温め、血行を良くすることも予防に繋がります。
5. まとめ:五十肩は「治る」病気
五十肩は、その痛みと長引く症状から、多くの人を不安にさせます。しかし、大切なのは「適切な時期に適切な治療を受けること」です。
- まずは整形外科または接骨院に相談をする。
- 痛みの時期に合わせて、接骨院での専門的な手技療法や物理療法を受ける。
- 自宅でのセルフケアを継続する。
- 焦らず、根気よく治療に取り組む。
五十肩は、適切な治療と患者さん自身の努力によって、多くの場合回復する病気です。当院はその回復をサポートするパートナーになれるよう尽力していきます。肩の違和感を覚えたら、放置せずに専門家へ相談することが、痛みのない日常を取り戻すための第一歩です。この情報が、五十肩に悩む方々にとって、希望の光となることを願っています。

あんどう接骨院
院長 安藤雅紀(あんどう まさのり)
- 愛知県名古屋市出身(S63年4月21日生まれ)
- 米田柔整専門学校卒業
- 天白区の接骨院にて11年間修業
- 名東区のリハビリデイサービスにて2年間機能訓練指導員として従事
現在”愛知県立日進中学校 男子バスケットボール部外部コーチ”を務める
日進市内ミニバスケットボールチームにトレーナー・コーチとして関わる


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