
愛知県日進市にある「あんどう接骨院」です。
当院に通われる保護者の方から「子供にプロテインを与える影響」についてご質問を受けます。
また「どのようなプロテインを選んだらいいか」と疑問をもたれる保護者が多いようです。
本記事をお読みいただき、皆さんの疑問や不安の解消につながれば幸いです。
はじめに

成長期の子供にとって、タンパク質は骨や筋肉、内臓、血液、髪の毛など、体のあらゆる組織を作る最も重要な栄養素です。しかし、スポーツをする子供や偏食のある子供など、食事だけでは必要なタンパク質を十分に摂取できていないケースもあります。
近年、そのような栄養補給の選択肢の一つとして注目されているのがプロテイン(プロテインパウダー)です。プロテインは手軽に高タンパク質を補給できるメリットがある一方で、子供の摂取に関してはいくつかの注意点もあります。
本記事では、プロテインの主な種類を分かりやすく解説し、特に「ジュニアプロテイン」も含めた子供がプロテインを摂取する際の具体的なメリットと、保護者が知っておくべきデメリット(注意点)について、栄養学的な観点から徹底的に解説します。また、最後に小児のタンパク質摂取に関する医学論文を引用し、科学的根拠に基づいた情報を提供します。
あんどう接骨院今回の記事ではプロテインの種類と子供へ与えた際の「メリット」と「デメリット」を解説します。
過去の記事にも「子供に与えるプロテインの影響」を特集していますので、合わせてご覧ください。


プロテイン(タンパク質)の基礎知識
まず、プロテインとは何かを正しく理解しましょう。
プロテインは英語でProtein、つまり日本語でタンパク質を意味します。一般的に「プロテイン」という言葉が指すのは、タンパク質を効率的に摂取できるように粉末化した「プロテインパウダー」や、それを加工した「プロテインバー」などの栄養補助食品です。
タンパク質は、約20種類あるアミノ酸が鎖状に結合してできており、体内で分解・再合成されることで、生命維持に不可欠な役割を果たします。特に、体内で合成できない9種類のアミノ酸は必須アミノ酸と呼ばれ、食事やプロテインから意識的に摂取する必要があります。
プロテインの主な3つの種類と特徴
プロテインパウダーは、その原料によって大きく動物性と植物性に分類され、それぞれ消化吸収速度や特徴が異なります。
| 種類 | 原料 | 特徴 | 吸収速度 | おすすめの摂取タイミング |
| ホエイプロテイン (Whey) | 牛乳(乳清)由来の動物性タンパク質 | 筋肉づくりに重要なアミノ酸が豊富で、水に溶けやすい。 | 速い (約1.5〜2時間) | トレーニング直後、起床直後など |
| カゼインプロテイン (Casein) | 牛乳(固形物)由来の動物性タンパク質 | 胃の中で固まりやすく、腹持ちが良い。 | ゆっくり (約6〜8時間) | 就寝前、食事の間隔が空く時 |
| ソイプロテイン (Soy) | 大豆由来の植物性タンパク質 | 低脂質・低カロリーで、大豆イソフラボンを含む。腹持ちが良い。 | 穏やか (カゼインと同程度かやや速い) | ダイエット時の間食、就寝前など |



ここからは3種類のプロテインの特徴を詳しく見ていきます。
それぞれ特徴が異なりますのでじっくりご確認ください。
動物性プロテイン(ホエイ、カゼイン)
主に牛乳を原料とするタンパク質です。必須アミノ酸のバランスを示すアミノ酸スコアが高く、栄養価に優れています。
① ホエイプロテイン(Whey Protein)


| 項目 | 詳細 |
| 原料 | 牛乳に含まれる乳清(ホエイ) |
| 特徴 | 消化吸収速度が非常に速い(約1.5〜2時間)。BCAA(分岐鎖アミノ酸)が豊富に含まれており、特に筋肉の合成を促すロイシンが多い。水に溶けやすく飲みやすい。 |
| 適したタイミング | 運動直後(ゴールデンタイム)、起床直後など、タンパク質を迅速に補給したいとき。 |
| 注意点 | 乳糖(ラクトース)が含まれているため、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする乳糖不耐症の人は注意が必要。 |
【ホエイプロテインの製法による違いと乳糖不耐症】
乳糖不耐症は、乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)の活性が低いことで、乳糖を含む食品を摂取した際に消化不良を起こす状態です。
- WPC(Whey Protein Concentrate/濃縮乳清タンパク質): 乳糖が多く残っているため、乳糖不耐症の症状が出やすい可能性があります。
- WPI(Whey Protein Isolate/分離乳清タンパク質): 製造過程で乳糖と脂質をほとんど除去しているため、乳糖不耐症の人でも比較的症状が出にくいとされています。
- WPH(Whey Protein Hydrolyzate/加水分解乳清タンパク質): さらに吸収が速く、乳糖も少ないですが、高価です。
② カゼインプロテイン(Casein Protein)


| 項目 | 詳細 |
| 原料 | 牛乳に含まれる固形分(カゼイン)。チーズの主成分。 |
| 特徴 | 胃の中でゲル状に固まり、消化吸収速度が非常にゆっくり(約6〜8時間)。長時間にわたってアミノ酸を供給するため、血中のアミノ酸濃度を緩やかに保つ。 |
| 適したタイミング | 就寝前、食事の間隔が長時間空くときなど、持続的にタンパク質を補給したいとき。 |
| 注意点 | ホエイに比べると溶けにくく、粉っぽさを感じやすい。乳由来のため、乳糖不耐症の人は注意が必要(ホエイよりは少ないが乳糖を含む)。 |



乳糖不耐症のお子様は動物性プロテインは避けましょう。
気になる方は小児科での相談をおすすめします。
植物性プロテイン(ソイ、ピー、ライスなど)
主に大豆やエンドウ豆などを原料とするタンパク質です。
③ ソイプロテイン(Soy Protein)


| 項目 | 詳細 |
| 原料 | 大豆 |
| 特徴 | 消化吸収速度は穏やか(カゼインと同程度)。動物性に比べて脂質が少なく、大豆イソフラボンを含む。腹持ちが良く、コレステロールゼロ。乳糖を一切含まない。 |
| 適したタイミング | ダイエット中の間食、就寝前など。牛乳アレルギーや乳糖不耐症の子供に適しています。 |
| 注意点 | ホエイに比べて独特な風味があり、溶けにくく飲みにくいと感じる人もいる。 |



それぞれのプロテインの特徴はお分かりいただけましたでしょうか?
注意点をしっかりと理解し、お子様に合ったプロテインを選びましょう。


子供がプロテインを飲むことのメリット
子供、特に成長期や運動量の多い子供にとって、プロテインの摂取は適切な方法と量であれば、食事を補完する強力なツールとなり得ます。
成長に必要なタンパク質の効率的な補給
成長期は、体重当たりのタンパク質必要量が大人よりも多い傾向があります。骨、筋肉、脳細胞、ホルモン、免疫細胞など、体内のあらゆる組織が活発に作られる時期だからです。
- 激しい運動で消費したタンパク質の回復: スポーツや部活動で激しく運動した直後は、筋肉の修復・合成が最も活発に行われます(運動後のゴールデンタイム)。吸収の速いホエイプロテインは、このタイミングで失われたタンパク質を迅速に補給し、体の回復をサポートします。
- 栄養の偏りの改善: 好き嫌いが激しい子供や食が細い子供は、肉や魚、卵などのタンパク質源を十分に摂取できていないことがあります。プロテインは、食事で不足しがちなタンパク質を手軽かつ確実に補給する手段となります。
ジュニアプロテインによる成長サポート栄養素の補給
子供向けに開発されたジュニアプロテインの多くは、単なるタンパク質補給だけでなく、成長に特に重要な栄養素が強化されています。
- 骨の成長をサポート: 日本人の子供は特に不足しがちなカルシウムや、その吸収を助けるビタミンDが豊富に配合されています。
- 貧血予防(鉄分): 運動量の多い子供は鉄分の消費量が多くなり、貧血を起こしやすくなります。ジュニアプロテインには、鉄分が配合されていることが多く、これを手軽に補うことができます。
- その他ビタミンの補給: 疲労回復やエネルギー代謝に関わるビタミンB群など、食事で不足しがちな各種ビタミンがバランス良く配合されているものが多いです。
手軽な摂取による継続性の確保
栄養摂取は継続が鍵です。プロテインは、牛乳や水に混ぜるだけで調理の手間がなく、ココア味やバナナ味など、子供が美味しく飲めるように工夫されたフレーバーが多いです。忙しい朝や、疲れて食欲がないときでも、手軽に栄養を摂れるため、継続しやすいという大きなメリットがあります。


子供がプロテインを飲むことのデメリットと注意点
プロテインは「魔法の薬」ではなく、あくまで「栄養補助食品」です。利用する際は、必ず保護者が適切な管理を行う必要があります。
過剰摂取による内臓への負担
子供がプロテインを摂取する上で、最も注意すべき点は過剰摂取です。
- 腎臓・肝臓への負担: 摂取したタンパク質が代謝される過程で、窒素化合物などの老廃物が生じます。これらを体外に排出するのが腎臓や肝臓の役割です。必要量を超えてタンパク質を摂取しすぎると、未発達な子供の腎臓や肝臓に過度な負担をかけ、健康を損なうリスクが高まります。
- カロリー過多・肥満: タンパク質にもカロリーがあります(1gあたり約4kcal)。食事で十分なタンパク質を摂っているにもかかわらずプロテインを摂取すると、総摂取カロリーがオーバーし、体脂肪として蓄積され肥満につながる可能性があります。
栄養バランスの偏り(食事の代替化)
プロテインを「手軽だから」といって、朝食や間食の食事の代わりにしてしまうのは大きなデメリットです。
- 食事からの栄養摂取が基本: プロテインはあくまで補助であり、本来、体に必要な栄養素は食材から摂るのが基本です。食事にはタンパク質以外にも、様々な微量栄養素や食物繊維が含まれており、これらはプロテインでは十分に補えません。
- 食育の機会損失: 「食事を噛んで、味わう」という行為は、顎や脳の発達、そして食育において非常に重要です。プロテインに依存することで、この機会が失われてしまう可能性があります。
乳糖不耐症とアレルギーへの配慮
乳製品由来のプロテイン(ホエイ、カゼイン)は、体質によって問題を引き起こす可能性があります。
- 乳糖不耐症の症状誘発: ホエイプロテインの中でもWPC(濃縮タイプ)には乳糖が多く、乳糖不耐症の子供が摂取すると腹痛や下痢などの症状を引き起こす可能性があります。研究では、乳糖不耐症患者の栄養管理において、乳糖を含まない代替品の選択が重要であると指摘されています1。乳糖不耐症が疑われる場合は、WPIやソイプロテインなど、乳糖の含有量が少ないかゼロの製品を選ぶべきです。
- 食物アレルギー: 牛乳や大豆にアレルギーがある場合、それぞれの原料を使用したプロテインを摂取することはできません。製品パッケージの原材料名とアレルギー表示を必ず確認し、安全なものを選びましょう。
不確実な成分(ドーピング関連の注意)
海外製品など一部のプロテインには、日本では禁止されている成分や、ドーピング検査で陽性となる可能性のある成分が意図せず混入しているリスクがあります。
将来的に競技スポーツで上を目指す子供の場合は、「インフォームド・チョイス認証」や「JADA(日本アンチ・ドーピング機構)認証」など、安全性が保証された製品を選ぶことが極めて重要です。



子供にプロテインを与える「メリット」と「デメリット」はご説明したとおりです。
プロテインは決して「魔法の薬」ではありません。
あくまでも栄養は食事から摂り、サポートとしてプロテインを与えるということを忘れてはいけませんね。
子供へのプロテインの適切な与え方と選び方
子供にプロテインを摂取させる際は、以下のポイントを参考に、慎重かつ適切に取り入れるようにしましょう。
プロテインが必要かどうかの見極め
プロテインを始める前に、まず食事で必要なタンパク質量が摂れているかをチェックすることが最も重要です。
| プロテインが必要な可能性が高いケース | プロテインは不要な可能性が高いケース |
| * 週に4回以上、激しい運動(部活動など)をしている。 | * 特に運動習慣がなく、運動量が少ない。 |
| * 肉、魚、卵、乳製品などのタンパク質源を十分食べられていない。 | * 毎食、主菜(肉、魚、卵、大豆製品)をしっかり食べている。 |
| * 食が細く、食べる量を増やせない。 | * 牛乳や肉などの動物性タンパク質を過剰に摂取している。 |
適切な摂取量とタイミング
- 摂取量: 必ず製品パッケージに記載されている「1日の目安量」を守りましょう。子供向けに作られたジュニアプロテインは、子供の成長に合わせた成分量に調整されているため、特に運動量が多くない場合は、まずはジュニアプロテインを選ぶのが安全です。
- タイミング:
- 運動後(30分以内): ホエイプロテインで素早い回復を促す。
- 食事でタンパク質が不足したとき: 間食として補う。
- 就寝前(30分~1時間前): カゼインまたはソイプロテインで、睡眠中の成長ホルモン分泌時に合わせて持続的に栄養を供給する。
子供の成長段階に合わせたプロテインの選び方
| 成長段階 | おすすめのプロテインの種類と選び方 |
| 小学校低学年まで | ほぼ不要。まずは食事と間食でタンパク質、カルシウム、ビタミンを補給すべき。運動量が非常に多い場合は、ビタミン・ミネラルが強化されたジュニアプロテインの規定量を守って使用する。 |
| 小学校高学年〜中学生 | スポーツの活動量が増え、必要量が増大する時期。ジュニアプロテインで栄養バランスを整えるか、激しい運動直後のみホエイプロテイン(WPIが望ましい)を規定量飲む。 |
| 高校生 | 体格も成人男性に近づき、必要量も増大。激しいトレーニングをする場合は、ホエイプロテイン(WPI)を主に利用し、リカバリーを優先する。ただし、過剰摂取には引き続き注意が必要。 |



運動頻度・食習慣・成長段階によりプロテインの選び方は変化していきます。
お子様の生活や年齢に応じて適切なプロテインを選択しましょう。
まとめ:プロテインは「成長の土台」を支えるツール
プロテインは、「成長の土台」であるタンパク質を効率的に補給できる優れた栄養補助食品です。
特にスポーツを頑張る子供たちにとって、プロテインはパフォーマンス向上と疲労回復をサポートする強い味方になります。しかし、最も重要なのは、「食事」という土台です。プロテインは、この土台の上に積み上げるサプリメントとして位置づけ、過度に依存しないことが大切です。
保護者は、子供の運動量や食生活をよく観察し、腎臓や肝臓に負担をかけない適正量を、適切なタイミングで与えることが、プロテインのメリットを最大限に引き出し、子供の健やかな成長をサポートする鍵となります。
参考文献
Nicklas TA, Quatromoni P. Nutritional management of lactose intolerance: the importanceofdietandfoodlabelling.Nutrients.2020;12(6):1598.doi:10.3390/nu12061598. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32498424/













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