お子さんの手が突然だらりとして、泣き出してしまった。そんな時、保護者の方はパニックになってしまいますよね。「腕が抜けたのかもしれない…」と頭をよぎり、どうしたらいいのか分からず不安になるのは当然です。
この急なトラブル、もしかすると「肘内障(ちゅうないしょう)」かもしれません。肘内障は小さなお子さんによく見られる症状で、適切な知識があれば落ち着いて対処できます。この記事では、接骨院の専門家が、肘内障の原因から症状、正しい対処法、そしてご家庭でできる予防策までを詳しく解説します。もしもの時のために、ぜひご一読ください。
また、子供は自身の痛みをはっきりと表現できないことが多いです。状態によっては肘内障ではなく「鎖骨骨折」「肩鎖関節脱臼」「肩関節脱臼」などの周囲の外傷を負っている場合があります。
お子様が”泣きながら腕を動かさない”とういう状態になりましたら、早急にご連絡ください。
1. 肘内障とは?|正しく知ることから始まる安心

肘内障は、正式には「橈骨頭亜脱臼(とうこつとうあだっきゅう)」と呼ばれます。「橈骨(とうこつ)」という前腕の骨の先端部分が、肘関節を包む靭帯から部分的に外れてしまう状態です。一般的には「肘が抜けた」と表現されることが多いですが、骨が完全に外れる脱臼とは少し違います。
この症状が特にお子さんに多いのは、なぜでしょうか。それは、お子さんの骨や靭帯がまだ発達段階にあるためです。
- 靭帯の未熟性: 大人の靭帯に比べて緩く、柔らかい状態です。
- 骨格の特徴: 橈骨の先端がまだ小さく、靭帯が骨をしっかりと固定できていません。
そのため、少しの力が加わるだけで、大人では起こらないような亜脱臼が起きてしまうのです。骨折とは異なり、レントゲンには写らないことがほとんどです。

2. どんな時に起こる?|典型的な原因とシチュエーション

肘内障が起きる原因のほとんどは、腕が急に引っ張られることによるものです。
最も典型的なシチュエーションは以下の通りです。
- 手を強く引っ張る: 歩いている時に急にお子さんが立ち止まったり、走り出したりした際、大人が慌てて手を引っ張る。
- 着替えや靴下を履かせる時: 袖を通そうとして、腕を無理に引っ張ってしまう。
- 寝返りや寝起き: 眠っている間に、無意識に腕が引っ張られるような姿勢になる。
- 高いところから下ろす時: 抱きかかえていたお子さんを、腕を掴んで勢いよく下ろす。
転んで手をついた場合でも起こることはありますが、大半は「手をつないでいる」「腕を掴んでいる」といった状況で発生します。お子さんの腕を引っ張る力が、たとえ軽く感じても、肘内障につながる可能性があることを覚えておきましょう。
3. 肘内障の症状|見逃さないためのチェックポイント

肘内障が起きた場合、お子さんには以下のような症状が見られます。
- 急な激しい泣き声: 何の前触れもなく、突然激しく泣き出します。
- 腕をだらりと垂らす: 痛みを避けるため、肘を少し曲げた状態で、腕を体の横にだらんと垂らしたまま動かそうとしません。
- 腕を触られるのを嫌がる: 痛むため、腕に触れるとさらに泣き出したり、強く拒否したりします。
- 手のひらを返せない: 痛みのために、手のひらを下に向ける(回内)動作が特にできなくなります。
骨折と異なり、「腫れや見た目の変形はほとんどありません。」この点が骨折との大きな違いです。もし、明らかな腫れや変形が見られる場合は、骨折の可能性も疑い、すぐに医療機関を受診しましょう。
4. 肘内障かな?と思ったら|焦らず、まずは冷静に
お子さんの様子がおかしいと感じたら、焦らず冷静に対応することが何より大切です。
絶対にやってはいけないNG行動
- 無理に腕を動かす、引っ張る: 痛みをさらに悪化させ、症状をこじらせる原因になります。
- 自己判断で戻そうとする: ネットや本で得た知識だけで、素人が無理に整復しようとすると、かえって骨や靭帯を傷つけてしまう危険があります。
- 痛い部分を揉んだり押したりする: 腫れや痛みを引き起こす可能性があります。
まずは、落ち着いてお子さんに寄り添いましょう。
無理に動かさず、安静に保つことが第一です。可能であれば、三角巾やスカーフなどで腕を吊るし、動かないようにしてあげましょう。冷やす(アイシング)ことについては、痛みが強い場合は炎症を抑えるために有効ですが、無理に行う必要はありません。
そして、速やかに専門家に見てもらうことが重要です。肘内障の整復は、接骨院または整形外科で対応可能です。
5. 接骨院での施術の流れ|安心の専門家によるアプローチ
「肘が抜けた」と思ったら、お近くの接骨院にご相談ください。接骨院では、国家資格を持った柔道整復師が、お子さんの身体に負担の少ない徒手整復術で対応します。
接骨院での施術は、主に以下の流れで行われます。
- 問診と視診: 保護者の方から、いつ、どのような状況で腕がだらりとなったか詳しくお話を伺います。見た目の腫れや変形がないかを確認し、肘内障であるかどうかの判断を慎重に行います。
- 徒手整復術: 施術台に座らせて、お子さんがリラックスできる体勢を整えます。次に、柔道整復師が片手で肘を支え、もう一方の手で手首を優しく回しながら、肘関節を元の位置に戻します。この整復は一瞬で完了することがほとんどです。
- 整復後の確認: 整復が成功すると、すぐに痛みが引き、お子さんが再び腕を動かし始めます。泣き止んで、おもちゃに手を伸ばしたり、腕を上げたりする様子が見られれば安心です。
施術は短時間で終わり、お子さんへの負担が少ないのが特徴です。整復後は、しばらく様子を見て、腕を動かせるようになったことを確認します。その後、日常生活での注意点や予防策について詳しく説明します。
6. 予防が最も大切|今日からできる工夫

一度肘内障を経験したお子さんは、再発する可能性が高くなると言われています。大切なのは、「腕を引っ張らない」という予防の意識を持つことです。
- 手をつなぐ時は優しく: お子さんが急に立ち止まったり、走り出したりしても、手を無理に引っ張らないようにしましょう。代わりに、しゃがんで抱きかかえるなど、腕に負担をかけない方法を選んでください。
- 抱き上げ方に注意: 抱き上げる際は、脇の下から身体を支えるようにし、腕だけを持って持ち上げないようにしましょう。
- 着替えの工夫: 袖に腕を通す時も、ゆっくりと、お子さんの動きに合わせてあげましょう。無理に引っ張らないことが大切です。
- 成長を待つ: 肘内障は、骨や靭帯が成長するにつれて起こりにくくなります。一般的に6歳頃までが好発年齢と言われていますが、個人差があります。
これらの予防策を日頃から意識することで、お子さんを肘内障から守ることができます。
7. 肘内障に関するQ&A|よくある疑問を解決
Q1. 一度なると、何度も繰り返すことはある? A. はい、靭帯が緩いお子さんは再発しやすい傾向にあります。一度整復しても、数時間後や数日後に再び外れてしまうケースも少なくありません。予防策を徹底することが大切です。
Q2. 何歳まで起こる可能性が高い? A. 1歳から4歳頃のお子さんに最も多く見られます。骨や靭帯が発達するにつれて徐々に発生率は低くなり、5〜6歳頃になるとほとんど見られなくなります。
Q3. 整復後の入浴や運動は? A. 整復直後から日常生活に支障はありません。シャワーや入浴も問題ありませんし、無理のない範囲であれば、普段通りに遊ばせても大丈夫です。

さいごに:もしもの時は、いつでもご相談ください
お子さんの肘内障は、保護者の方にとって非常に心配な出来事です。しかし、慌てず、適切な知識を持って対処すれば、お子さんの痛みはすぐに和らぎ、元気に動き出すことができます。
当院は、お子さんの肘内障の対応に長年携わってまいりました。もし「もしかして肘内障かも?」と感じたら、ご自宅で悩まず、まずは一度ご相談ください。専門家として、お子さんと保護者の皆さんの不安を解消し、安心を提供できるよう努めます。

あんどう接骨院
院長 安藤雅紀(あんどう まさのり)
- 愛知県名古屋市出身(S63年4月21日生まれ)
- 米田柔整専門学校卒業
- 天白区の接骨院にて11年間修業
- 名東区のリハビリデイサービスにて2年間機能訓練指導員として従事
現在”愛知県立日進中学校 男子バスケットボール部外部コーチ”を務める
日進市内ミニバスケットボールチームにトレーナー・コーチとして関わる


コメント